[三宅伸吾の国会レポート]
3月28日、「自由民主党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」(柴山昌彦会長)が開催され、事務局長に就任しました。
その初仕事として、世界で注目を集める「ペロブスカイト太陽電池」をテーマに取り上げました。
講師は積水化学工業の向井克典執行役員(R&Dセンター所長)。資源エネルギー庁、環境省のほか、防衛省、国土交通省、文部科学省、総務省、農林水産省の担当者のほか、一部民間企業やマスコミ各社にも参加いただきました。
ペロブスカイト太陽電池の最大の特徴はとても軽く、曲げることもできること。
このため、ガラス基板を用いた従来のシリコン型では設置が難しかった耐荷重性が低い屋根やビルの曲線状の壁面など、様々なところで発電できます。
平地面積あたりの太陽光発電の導入量を調べると、日本は主要国の間で最大で、設置場所を選ばないペロブスカイト型は自然環境に配慮しながら再エネ拡大が可能です。
ペロブスカイト太陽電池は社会の脱炭素化に貢献するだけでなく、我が国の産業競争力の強化、経済安全保障、環境外交などにも役立つことから、政府でも経済産業省資源エネルギー庁や環境省などが既に支援に動いています。
課題についてはフィルム型の屋外での耐久性は今のところ10年前後とされ、シリコン型より短く、発電効率もまだ改善が求められます。コストについては、技術開発の進展に加えて、市場立ち上げに向けた官民を挙げた協力により、一定規模以上の導入量が確保できれば大量生産によってライフサイクルコストは、シリコン型同等まで下がっていきます。
コストダウンを図るため、民間分野だけでなく、空港、道路、鉄道、河川の法面のほか防衛省・自衛隊が管理する敷地内でも普及の検討をすべきです。
そして、世界に先駆け、日本勢がペロブスカイト太陽電池の量産や設置・運営ノウハウを確立、内外の市場を獲得できれば素晴らしいことです。また、自衛隊施設での運用ノウハウを有志国などに移転できれば、環境外交、防衛協力にもつながります。
防衛省では、全国に庁舎や隊舎など約2万3千棟の建物を保有しており、既存施設の更新を進めています。
「ペロブスカイト太陽電池は、国産の材料により製品ができ、他国に依存せず調達できるという面で興味深く注視しているところであり、当省が推進する既存施設の更新とペロブスカイトの市場化のタイミングが合致すれば、積極的に自衛隊施設へ導入する検討を進めたい」(議連での同省配布資料)とのこと。
とても心強い方針の表明であり、タイミングを合わせるよう関係者の取り組みに期待します。
脱炭素化は地球規模の課題。参加していた多くの議員からの質問も絶えず、極めて有意義な会となりました。世界の脱炭素化に貢献しながら「稼ぐ日本」を実現するため、今後、このテーマを議連としてしっかりフォローしていきます。
(小泉進次郎元環境大臣(議連会長代理)をはじめ、多くの議員が参加し、予定時間を過ぎるほど質疑も盛り上がりました)
(終了後には柴山会長と記者へのブリーフィングも行いました)